進駐軍上陸の様子を記した「昭和の陣痛」の初版(右)と復刻版
終戦直後の1945(昭和20)年9月4日、米進駐軍が西日本で初めて上陸したとされる鹿児島県鹿屋市高須町の町内会が、戦後80年を機に当時の様子を伝える取り組みを進めている。上陸地近くの広場を整備し、お披露目式を実施。証言を記した本の復刻も準備している。
上陸地・金浜海岸を見下ろす高台の広場には、2001年に建立された石碑がある。しかし雑草が生い茂って眺望が悪かったため、住民有志で草払いをした。県の協力を得て木を伐採し、大型バスを駐車できるスペースを確保した。
広場のお披露目式は2月16日にあり、地元住民約40人が集まった。石碑建立時の発起人の一人である立元良三さん(95)は「平和が続くよう、戦争について考える場として活用してほしい」と話した。
同町内会長で郷土史家の上原義史さん(63)は、復刻版「昭和の陣痛」の出版準備を進める。初版は、進駐軍上陸当時に高須国民学校長だった新弘さん(大崎町出身、故人)が1971年に発行した。同校への赴任経緯のほか、上陸当日の様子を振り返る。輸送船から降ろされたブルドーザーが県道へ続く崖を崩し、約2時間ほどで道路を造ったことを詳細に記す。
上原会長は「当時を知る人が少なくなる中、残された記録を後世に伝えたい」。本はモノクロA5判235ページ。1000円。3月4日から300部を販売する予定。問い合わせは同町内会事務所の電話=0994(47)2008=または上原さんのファクス=0994(47)2159。