2025年度予算案は4日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会などの賛成多数により可決され、衆院を通過した。衆院で少数与党の石破政権は教育無償化や、所得税が生じる「年収103万円の壁」見直しなど野党の求めに応じた。国会で当初予算案を修正したのは1996年以来29年ぶり。減額修正は55年以来70年ぶりとなる。立憲民主党や国民民主党、れいわ新選組、共産党などは反対した。
自民の森山裕幹事長(鹿児島4区)は本会議後に記者団から衆院通過の所感を問われ「正直なところ安堵している」と笑顔を見せた。少数与党として各会派からの政策提言を受け、予算案の修正や各党協議を重ねた。「年収の壁」を巡り合意に至らなかった国民民主党との関係について「いがみ合っているわけではない。政策の方向性は確認できている。真摯(しんし)に協議を続け、できるだけ早く実現したい」と述べた。
自民の三反園訓氏(2区)は「野党の意見も取り入れながら国民生活にとって一番いい予算になった」。与党は3月中の予算成立を目指す方針だ。県知事経験を踏まえ「国の予算成立は自治体にとって影響が大きい。衆院通過は地方行政を進める上でも重要な意味がある」と強調した。
「物価高にあえぐ国民を支える予算なのか。生活が置き去りになっている」と批判するのは立民の川内博史氏(1区)。自身も予算委員会で質疑した高額療養費制度の利用者負担上限引き上げが全面凍結に至らず「じくじたる思い。今後も訴え続ける」。立民が存在感を示しきれなかったことに「野党を束ね与党と対峙する姿をつくれるよう、努力しないといけない」と自戒を込めた。
立民の野間健氏(3区)も「国民生活の厳しさが分かっていない予算案で非常に残念」と落胆。「鹿児島にとって影響が大きいガソリン減税案も否決された。『熟議』と言いながら日程や目先のことが優先された」と断じた。