鹿児島大教授 小山佳一(こやま・けいいち)さん
■「かお」 理系女子の育成に取り組む鹿児島大教授 小山佳一さん
理系女子の育成に向け、小中高校生に実験やプログラミングの楽しさを伝える活動を2013年から続ける。昨年度と本年度、日産財団のリカジョ育成賞奨励賞を2年連続で受けた。
「小学校では男女とも理科の実験を楽しむのに、大学進学までに進路選択に男女差が出る。周囲のジェンダーバイアス(性別に基づく固定観念)や環境で才能をつぶしてはいけない。女子にも機会の提供が必要だ」と狙いを語る。進路選択には保護者の理解が重要と考え、親子で参加できるスタイルにした。
最初は参加者集めに苦労した。鹿児島大の女子学生や、ロボットを研究する長女の意見を参考に、関心を持たれやすい企画内容や講座名に改善。徐々にリピーターが増え、鹿大理学部に入学した教え子もいる。「科学技術の多くは男性社会でつくられてきた。女性が増えることで多様性が生まれ、今までにない楽しいものが増えるはず。すごくワクワクしている」
沖縄県出身。女子だけでなく、地方の教育格差にも問題意識を持ち、3年前からは奄美群島の学校で出前授業も続ける。「大学で学んだ人材が、島の持続的発展の力になる。高等教育への進路支援が必要」と信じる。
4人の子の父親。景品で喜ばせようと、UFOキャッチャーの攻略法を物理の視点で探究し続け、昨春には著書「クレーンゲームで学ぶ物理学」を出版した。全国放送のテレビ番組に度々出演し、講演依頼もひっきりなしの57歳。磁気物理学が専門の鹿大理学部長。