鹿児島地裁
出水市で2019年、同居していた交際女性の長女=当時(4)=を自宅の浴槽に放置し溺死させたなどとして、重過失致死や暴行などの罪に問われた同市の建設業の被告男(27)の判決公判が13日、鹿児島地裁であり、小泉満理子裁判長は懲役2年6月(求刑懲役3年6月)を言い渡した。「過失の程度は重過失致死罪の中でも非常に重い」とし、被告側の無罪主張を退けた。
小泉裁判長は判決理由で「死の予見と回避は容易だったが、著しい態様で義務を怠った」と指摘。「苦しさや突然生涯を終えざるを得なかった無念さは筆舌に尽くしがたい」と述べた。弁護側は「女児の死を予見できず、回避する義務違反もなく無過失」と主張していたが、地裁は解剖した医師の鑑定結果と整合しないなどとして認めなかった。
判決によると、19年8月28日午後7時40分ごろから9時10分ごろ、被告男は交際女性の長女と入浴した際、高熱などの症状から体調急変による溺水を予見できたにもかかわらず、浴槽内に放置するなどした重大な過失で溺死させた。死亡前日の交際女性の長女への暴行罪や知人らへの恐喝罪などにも問われ、地裁はいずれも有罪認定した。
被告男の弁護人は公判後の取材に「本人の意向も聞き、控訴するかどうか判断する」と話した。
19年春、被告男と交際女性の長女は住んでいた薩摩川内市で夜間に1人で外出し、薩摩川内署に4回保護された。児童相談所(児相)はネグレクトで虐待を認定したが、同署に求められた一時保護は実現しなかった。親子は同7月末に出水市に転居。同市は交際女性の長女の体のあざを把握しながら警察や児相に相談せず、関係機関の連携不足が問題になった。
法定刑が重い傷害致死容疑などで逮捕されたが、「暴行で死なせたとは認められなかった」として重過失致死罪などで起訴された。