薩摩川内市の「エコパークかごしま」=2016年12月撮影
鹿児島県は17日、産業廃棄物管理型最終処分場「エコパークかごしま」(薩摩川内市)について、2029年12月まで運用した場合の最終的な収支は21億2000万円の赤字となり、県からの借入金約59億円のうち40億2000万円を返済できない見込みであると明らかにした。15年1月に操業後、収支見通しの試算は初めて。県は開業前、借入金は収入から全額返済された上で約1億円の収益が出ると見積もっていた。
同日の県議会環境厚生委員会で説明した。県廃棄物・リサイクル対策課は「収支改善に向けて、県環境整備公社に引き続き搬入量の確保に努めるなどの経営努力を求めていく」とした。委員からは「試算を早期に行うべきだった」との意見が上がった。
エコパークは、民間施設の閉鎖に伴い県内に管理型処分場がなくなったのを受け、公社が県から59億2000万円を借り入れて整備した。住民との協議により、埋め立て期間は29年12月までとなっている。
県試算によると、埋め立て期間終了時の累計搬入量は当初想定した60万トンを下回る54.8万トンとなる見込み。他県の処分場への搬入やリサイクルが進み予想を下回ったという。
収入は13億円減の112億2000万円となる一方、物価高騰などにより支出は9億2000万円増えたとしている。当初想定していなかった大規模修繕などに備えるための積立金18億5000万円も必要となった。
エコパーク建設を巡っては、住民らから反対が相次いだ。事業用地の賃料が高額として、知事に公金支出の差し止めなどを求めた訴訟もあった。総建設費は約96億円で、埋め立て地全体を屋根で覆う処分場としては国内最大級。浸出水は河川に放流せず循環利用するなど安全性に配慮した施設となっている。