BeachLISAによる解析結果のイメージ(加古真一郎氏提供)
鹿児島大学大学院理工学研究科の加古真一郎教授(47)=海洋物理=と海洋研究開発機構などの研究グループは、画像から海岸漂着ごみの量や種類を推定できるシステムを開発し、Webサービス「BeachLISA」として公開した。画像解析AI(人工知能)を実装。行政機関や市民らが撮影した写真を使って海岸ごみの「見える化」が可能となり、効果的で幅広い環境保全活動を支援する。
1月末から公開している。スマートフォンやドローンで撮影した画像をアップロードすれば、画像解析AIが瓶や缶、プラスチック製品といった人工ごみと、流木や海藻などの自然ごみを色分けして表示。各ごみで覆われた面積も推定される。無料で利用できる。
海岸ごみのモニタリング手法は、国や地域レベルで統一されておらず、地域間の比較が困難となっている。国際標準化に向け、日本の環境省主導で昨夏定めた国際ガイドラインで、BeachLISAが推奨ツールとして紹介された。
加古教授は「海岸を定点撮影した画像から、ごみが増える時期や変化の実態把握ができれば、効果的な清掃につながる。科学的根拠に基づいた環境政策の立案も支援できる」と期待。今後は発生源の把握に向けて、ごみの種類ごとに識別できる画像解析AIの開発を進める。