奄美市1人1泊200円、指宿市は2%の定率制…観光拠点整備や環境保全の財源確保に「宿泊税」必要 検討委が市長に答申、県内初の導入へ

2025/03/22 07:00
安田壮平市長(左から3人目)に答申する検討会委員=21日、奄美市役所
安田壮平市長(左から3人目)に答申する検討会委員=21日、奄美市役所
 宿泊税を巡り議論してきた指宿市と奄美市の検討委員会は21日、観光地の整備・保全などには安定財源の確保が必要だとして導入するようそれぞれの市長に答申した。いずれも実現すれば鹿児島県内では初めて。指宿市は宿泊料の2%の定率制で2026年10月、奄美市は1人1泊200円で27年度からの実施を目指す。

 指宿市によると、年間約1億3000万円の税収増を見込む。答申では使途として二次交通や観光拠点整備、宿泊客誘致事業を想定する。

 導入に伴い徴収作業が生じる宿泊事業者には、市への納付額の3.5%を交付する形で還元するほか、システム整備に定額補助を設ける。現在の入湯税は改正しない旨も制度設計に盛り込んだ。事業者や納税者の理解が得られるよう目的や制度を丁寧に説明することも求めている。

 今後、市は議会への説明や条例制定に向けた準備を進める。検討委は鹿児島大学法文学部教授の石塚孔信会長をはじめ、市内の宿泊事業者や観光関係者らで構成。市長の諮問を受け、24年7月から審議してきた。

 奄美市の検討委は、世界自然遺産に登録された奄美大島の価値を高めるため、財源確保策を議論してきた。答申では、税収分を外来種対策や島内交通の整備、伝統文化の継承に活用するとした。

 導入に際しては、災害時の避難目的の宿泊を免税とするほか、宿泊事業者には納付額の2.5%の還元やシステム整備への支援も提言した。

 市は答申を踏まえ、事業者との意見交換や条例制定への手続きを進める。税収額は年間約7500万円と試算する。

 検討委は鹿大法文学部の松田忠大教授を委員長に23年8月に設置された。松田委員長は「自然環境だけでなく、文化も次世代に引き継げるよう活用を」と要望した。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >