前捜査2課長の懲戒処分について陳謝する鹿児島県警の岩瀬聡本部長=21日午後、鹿児島市の県警本部
鹿児島県警の不祥事が止まらない。犯罪を取り締まり、公共の安全を守る組織であるにもかかわらず、県民の信頼を失い続けている。キャリア官僚で、前捜査2課長の安部裕行警視(29)による情報漏えい容疑まで浮上した21日、県民や警察関係者からは失望と非難の声が相次いだ。
県警によると、安部警視は自身が関わる事件の情報を知人女性に漏らしたとされる。いちき串木野市の40代主婦は「また情報漏えいかという思い。失望した。機密を漏らしても処分が停職1カ月とは軽すぎる」と憤る。
事案の詳しい内容が明かされていないことに疑問を呈した上で「組織として全然反省していない。市民生活を守る立場として身を引き締め真剣に信頼回復に努めるべきだ」と語気を強めた。
鹿屋市の80代県警OBは「今、不祥事が急増しているのではなく、表面化してこなかっただけ」とみる。組織の根本的な体質は昔から変わっていないと指摘し、「署内の班など小さなグループでのコミュニケーションを密にすべきだ。職員の細かい変化にお互い気付くことができれば、不祥事を未然に防ぐ一助になる」と提言する。
安部警視は捜査2課を束ねる管理職だった。公安職で管理職を務める県内の50代男性は「公安職は国民や県民の信頼の上に成り立つ職種。疑いを持たれると仕事にならない」と話す。
管理職は模範とならなければならないとの自覚から、部下からの目線にも背筋を伸ばす必要があるという。今回の情報漏えい容疑については「捜査情報は限られた関係者にとどめるべきもの。漏えい先からさらに漏れる可能性もある。そこに想像が至っておらず、甘すぎる」ととがめた。
県内の60代県警OBは、情報漏えいが相次ぐ中で新たに発覚した経緯に触れ、「普通の感覚ではない。キャリア官僚は地方の職務を軽く見ているのではないか」と厳しく非難した。