一部県議は反発「なし崩しで進む」…新体育館計画の意義「ご理解いただけた」 設計費9億円、知事が早期予算化を言明

2025/03/26 18:03
県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
 鹿児島県が鹿児島港本港区のドルフィンポート跡地に計画する新総合体育館事業を巡り、塩田康一知事は25日、設計費約9億円を早期に予算化する意向を南日本新聞の取材に明らかにした。同日の県議会本会議で「設計費を計上するという県の考えに否定的な意見はなかった」とした文教観光委員長報告を理由に挙げ、「時期ははっきりしないが、急ぐ必要がある」と述べた。

 新体育館は、労務費や建設費の高騰、金利上昇の影響で事業費が基本構想の約2倍にあたる488億円に膨らんだ。県は3月定例会に予算案を計上せず、コスト削減のため固定席を千席減らすほか、民間事業者に資金調達から整備・運営までを包括発注するPFI手法から個別発注する方針を示して県議会に理解を求めていた。

 文教観光委の集中審査で、県は488億円を3月時点の推計値とし、「詳細な建設費を示すため、設計費を予算計上したい」と説明した。柴立鉄平委員長(自民)は否定的な意見はなかったとする一方、「設計を認めても、建設費まで認めたわけではない」との声もあったと報告。事業推進、見直しを求める陳情をいずれも継続審査にしたとした。

 塩田知事は、新たな体育館を整備する意義や整備・運営手法の変更について「ご理解いただけた」とし、詳細な建設費を示すために設計費を計上したいとする県の方針にも「否定的な意見はなかったので、ご理解いただけたと思う」との認識を示した。



 鹿児島県議会文教観光委員会の委員長報告は県新総合体育館の設計費計上を事実上容認する内容だった。県は早ければ6月定例会に提案する方針で、約9億円とされる設計費を巡る議会の判断が今後の焦点となる。県議からは「議論を深めるためで事業の容認ではない」との声がある一方、設計を認めれば「なし崩しで進む」との懸念も聞かれた。

 「新体育館事業の全体にゴーサインを出したわけではない。設計費の妥当性についても議論する必要がある」。文教観光委の柴立鉄平委員長(自民)は本会議後の取材に答えた。

 県は488億円に膨らんだ事業費を「3月時点の推計値」とし、詳細な建設費を出すには設計の必要があるとする。塩田康一知事も取材に「設計をして数字を出して、それを基に議論してほしい」と述べた。

 文教観光委では、事業推進、見直しを求める陳情をいずれも継続審査とした。委員の一人で野党会派県民連合の福司山宣介会長は「設計費の計上を認めたと読める委員長報告は踏み込みすぎだ。継続審査の意味が反映されていない」と指摘。なし崩し的に進むことを警戒し、県民の理解を深めてから進めるべきと改めて訴えた。

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