〈資料写真〉2024年4月、雑草が覆い尽くす肥薩線の線路(手前)。すぐ先には吉松駅を出発したばかりの吉都線の列車が走っていた=湧水町
2020年7月の豪雨で被災したJR肥薩線のうち、人吉-吉松間の通称「山線」について、JR九州の古宮洋二社長は27日の定例会見で、鉄路復旧へ向け議論が進む「川線」(八代-人吉)の検討会議に、鹿児島、宮崎両県を加え協議する考えを示した。これまで山線の協議体を明示してこなかった。開始時期や山線の存廃は「未定」とした。
肥薩線(八代-隼人)のうち、川線、山線は不通が続く。復旧費235億円の98%を占める川線から議論が始まり、現在の検討会議は熊本県、国、JR九州の3者で構成。川線が通らない鹿児島と宮崎両県はオブザーバーで参加している。
古宮社長は「川線が終われば次は山線と認識している。3県がメンバー候補になる」と言及。山線の位置付けについては「鉄道資産は非常に価値がある。ただ日常利用がほぼなく、どう活用するかが大きな課題だ」と述べた。
熊本県とJR九州は昨年4月、川線の鉄路復旧で基本合意。24年度内の最終合意へ向け、今月31日の検討会議では熊本側が川線3駅の廃止案を提示する。
古宮社長は「駅の利活用策を踏まえて決められており良いものだ」と評価。最終合意に向けては「課題の整理が進み、実感が湧いている」と前向きな姿勢をみせた。