JR肥薩線 八代-人吉間の通称「川線」、33年度の運行再開で熊本県とJR九州が合意 一方、人吉-吉松間の「山線」は…

2025/04/01 06:30
JR肥薩線検討会議後、取材に応じるJR九州の松下琢磨取締役常務執行役員=31日、熊本市の熊本県防災センター
JR肥薩線検討会議後、取材に応じるJR九州の松下琢磨取締役常務執行役員=31日、熊本市の熊本県防災センター
 2020年7月の豪雨で被災したJR肥薩線の八代-人吉間(いずれも熊本県)の通称「川線」について、熊本県とJR九州は31日、鉄路復旧で最終合意した。15駅のうち3駅を廃止し、33年度ごろの運行再開を目指す。同じく不通が続く「山線」の人吉-吉松(湧水町)間は、鹿児島、宮崎両県を加え今後協議する見通し。

 4月1日に熊本県の木村敬知事とJR九州の古宮洋二社長が県庁で最終合意書を取り交わす。

 31日に熊本市であった非公開の検討会議では、県側が利用者増が見込めない3駅の廃止案を提示し、JR九州が受け入れ合意した。同社が25年度から復旧工事の調査・設計に着手することも報告された。今後は官民で約114億円を初期投資し、観光と日常の両面で利用客拡大に取り組む。

 会終了後、同社の松下琢磨取締役常務執行役員は「駅の長期的な活用方法や具体的な廃止案が示されたため合意に至った」と説明。山線については「今後、検討会議という場で議論していく」との見解を示した。

 川線の鉄路復旧を巡りJR九州は当初、被災前の年6億円前後の赤字や沿線の人口減を理由に慎重な姿勢だった。県は線路や駅舎などを自治体が保有しJR九州が運行を担う「上下分離方式」や、観光と日常利用を軸とした利活用策などを提示し、24年4月に鉄路復旧で基本合意していた。

 JR九州の試算では、肥薩線の復旧費約235億円のうち山線は約6億円。区間別の被害件数は、橋桁の流失や駅舎の浸水など川線が419件、山線が29件の計448件。自治体別では、鹿児島県は湧水町の1件のみ、宮崎県は0件となっている。

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