フジテレビ刷新の印象付けに利用?…新役員、女性だけ性別明記 「多様性意思示す」識者ら賛否

2025/04/01 11:45
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 元タレントと女性とのトラブルに端を発したフジテレビの問題を受け、親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は信頼回復に向け経営体制を見直す。改革の考え方の一つに「女性取締役比率3割以上」を掲げ、31日までに発表した資料では女性役員だけ性別を明記。「刷新の印象付けに性別が利用されているよう」「多様性を重視する意思表示として一定評価できる」と公表の手法について、識者らから賛否両論が聞かれる。

 経営体制の方針について多様性の観点から(1)女性取締役の比率を3割以上とする(2)取締役の平均年齢を大幅に引き下げる-などと説明。女性役員は氏名と一緒に「女性」と記した。フジHDは南日本新聞の取材に「女性取締役の登用を重視したため女性だけ性別を表記した」と答えた。

 「『女性』を特筆しイメージアップを図りたい思惑が透けて見える」。鹿児島県男女共同参画審議会のたもつゆかり会長(72)は「女性の割合は重要な指標になるが、公の場で個人と性別を結びつけて強調する必要はない」と指摘する。今回のフジの問題は女性に対する「性の商品化」が根底にあるとし、「女性を企業価値向上の象徴として利用しているように映る」と訴えた。

 メディアに詳しい同志社大学の佐伯順子教授(比較文化論)は「多様性の実現に積極的な姿勢は伝わる。過渡期にあることを踏まえれば悪気はないのだろう」と受け止める。その上で「戸籍上の性別と性自認が異なる人や、どの性別にも当てはまらないと感じる人もおり、近年は性別欄の任意記載など配慮が進んでいる。性別表記の必要性は慎重に判断すべき」と求めた。

 系列局の鹿児島テレビ放送(KTS)元報道部長、米村秀司さん(76)は「多様性を意識した人選自体は良いことだが、重要なのは属性ではなく、社会正義を追求するジャーナリズムの思想を備えた人材であるかどうか。今後の動向に着目したい」と話した。

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