イメージ写真
トランプ米政権による輸入自動車への25%の追加関税発動を3日に控え、鹿児島県内で自動車関連産業に携わる事業者らは「どれほどの影響が出るのか」と懸念する。日本を除外するよう求める政府の訴えが届くかも見通せず、「日米両政府の動きや発動後の需要動向を注視したい」と見守る。
トランプ大統領が自動車関税強化に言及後、関連産業と取引のある県内企業の幹部らは、取引先に問い合わせを続けていた。金属関連の製造責任者は「具体的な情報が何一つ入ってこない」と気をもむ。米国内での日本車の売れ行きは、景気や為替状況も左右する。「今後、需要がどう動くか注目している」と話す。
自動車産業は、メーカーを頂点にすそ野は広い。自動車部品メーカーに納品している別の県内企業幹部は「今のところ受注分のキャンセルは入ってはいない。需要が変化しても必要とされる高付加価値品を生み出す努力を続けるしかない」と冷静に見守る。
さつま町の精密機械器具製造業「ジクヤ精工」はリーマン・ショック時、自動車輸出が急減したあおりで、関連部品の受注が5分の1に落ち込む月もあった。軸屋敏宏会長(70)は「今後、米国の対応次第で苦境に立たされる可能性もある」と警戒する。県内工場で関連部品を製造する京セラ(京都市)は「政府も交渉中と聞く。今後の動きを注視する」とした。
九州7県でつくる九州自動車・二輪車産業振興会議が発表する「九州の自動車関連企業立地マップ」によると、鹿児島県内には金型や機械加工など74事業所(今年2月現在)が名を連ねる。関税の影響について、県は関連する県内事業所へのヒアリングを始めた。産業立地課は「1回限りではなく、継続して聞き取りをして情報収集していく」としている。