うれしい…でも「やっぱり涙が出る」亡夫が20年大切に育て、咲かなかった1株…天国へ旅立った後、毎年白く可憐な花が咲く

2025/04/05 11:46
花を咲かせたアマミセイシカに亡夫を思う牧すみ子さん=3日、鹿児島市東谷山3丁目
花を咲かせたアマミセイシカに亡夫を思う牧すみ子さん=3日、鹿児島市東谷山3丁目
 鹿児島市東谷山3丁目の牧すみ子さん(95)方で、今年もアマミセイシカが花を咲かせた。5年前に亡くなった夫孝さんの形見。植えて20年近く花を付けなかったが、夫が旅立った翌年から咲くようになった。すみ子さんは、ほのかな甘い香りに優しかった孝さんを思い出す。

 夫の退職後の1997年、大阪から夫婦で帰省し家を建てた。翌年、近所の人から奄美土産にもらった1株を庭先に植えた。植物好きだった孝さんは、日当たりのいい場所を選び開花を楽しみにしていたという。

 しかし一度も花を見ることなく2020年8月に死去。悲しみに暮れる中、21年3月に初めて開花し、以後毎年咲くようになった。すみ子さんは「私が寂しくないように夫が咲かせてくれたに違いない。やっと心の整理はついたが、やっぱり涙が出る」とかれんな白い花に目を潤ませた。

 アマミセイシカは絶滅危惧種で、現在は採取が禁止されている。

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