まさに生きる化石…アマミノクロウサギ 成長の謎解明 通常のウサギより5倍の時をかけて…岡山理科大などチームが解明、絶滅リスク高める可能性指摘

2025/04/05 20:24
姿を現したアマミノクロウサギ=2024年8月、奄美大島
姿を現したアマミノクロウサギ=2024年8月、奄美大島
 鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息する国の特別天然記念物で絶滅危惧種のアマミノクロウサギが、普通のウサギの5倍の時間をかけてゆっくり成長していることが分かったと岡山理科大や東京大のチームが発表した。敵が少なく餌の限られる島で増え過ぎないように適応したためとみられるが、遅い成長は絶滅リスクを高めている可能性があると指摘した。

 研究は交通事故などで死んだ263個体を観察し、骨の組織と成長段階の関係を調べた。31個体の太ももとすねの骨を切って断面を分析すると、1年に1本できるとされる「成長停止線」が、大人になって間もない個体で5本以上確認された。

 普通の子ウサギにはみられない成長停止線が、アマミノクロウサギの子どもには複数あることも確認。ウサギは1年以内に大人になるため、アマミノクロウサギは5年ほどかけて成長すると考えられると結論付けた。

 極端に遅い成長は、繁殖数の減少や個体群を維持することの難しさにつながるという。岡山理科大の林昭次准教授(44)=骨組織学=は「アマミノクロウサギは子をたくさん産めないことも指摘されており、一度数が減ると回復が難しい。日本や鹿児島の誇りとして大切に守ってほしい」と話した。

 哺乳類で、近縁種より極端に成長が遅い事例は、これまで化石類でしか確認されていなかったという。

 研究では他に、アマミノクロウサギは島の山岳部の急斜面を効率的に移動するため、普通のウサギに比べ骨が緻密で頑丈なことも分かった。

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