奄美大島近海を回遊する子クジラ=2月(興克樹さん提供)
鹿児島県の奄美大島近海を回遊するザトウクジラが2024年シーズン(同年12月~25年3月)、過去20年で最も多い1799頭だったことが分かった。クジラ観察が目的のツアー参加者も7789人と最多を更新した。
地元のダイビング業者でつくる奄美クジラ・イルカ協会が調査結果をまとめた。出現数は1月中旬に増え始め、寒波の影響などで増減しながら2月下旬にピークを迎えた。母子の群れは笠利湾や住用湾といった湾内など、育児に適した穏やかな環境によく現れた。
協会はクジラへの影響を考慮し、来季から自主ルールを改定。生後間もない子クジラと一緒に泳ぐホエールスイムを禁止するなど、制限を強化することを決めた。
同協会の興克樹会長(54)は「ゆっくり子育てできる環境として定着しつつある。データを積み重ね、よりストレスのない環境を整えたい」と話した。
ザトウクジラは体長十数メートル、体重20~30トン。夏場はロシア極東カムチャッカ半島付近で過ごし、冬場は繁殖や子育てのため水温の高い奄美や沖縄近海へ移動する。