きょう4月9日「子宮頸がん予防の日」に考えたい…HPV検査でがんの一歩手前「前がん病変」の見落とし防げ 鹿児島大が研究スタート

2025/04/09 11:39
子宮頸がん検診で使用する検査キットと、研究調査を知らせるリーフレット
子宮頸がん検診で使用する検査キットと、研究調査を知らせるリーフレット
 4月9日は、4(し)9(きゅう)にちなんだ「子宮頸(けい)がんを予防する日」。2022年人口動態統計では、鹿児島県内の子宮頸がんによる死亡率は全国で4番目に高い。鹿児島大学産科婦人科学教室は1月から、従来の子宮頸がん検診とともに、がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染の有無を調べる検査を行う研究を始めた。同教室の小林裕明教授(64)は「細胞診で発見できない前がん病変のとりこぼしを防げる」と話す。

 子宮頸がんは30~40代を中心に国内で年間約1万人がかかり、約3000人が命を落とす。性的接触によるHPV感染が原因とされ、長い年月をかけて進行する。がんになる一歩手前の状態、前がん病変の段階で見つければ子宮を取らずに完治することもあり、初期の段階で発見することが重要になる。

 検診では、子宮入り口の細胞を専用ブラシで採取してがん化していないか調べる「細胞診」が一般的だ。厚生労働省は24年4月から、検診にHPV検査を加えることを推奨している。これを受けて、各自治体で導入が進む見通しだ。

 HPVの型は150種類以上あり、そのうち14種が発がん性のあるハイリスク型とされる。今回の臨床試験で用いるHPV検査では、特にがんに移行しやすい16、18型など14種を九つのグループに分けて、陽性を判定する。

 小林教授によると、HPV検査はより早い時期から前がん病変の人を発見できる。細胞診は陰性でも、HPV検査で陽性になる場合があり、両検査を一緒に行うことで、見落としを防ぐことが期待される。

 鹿児島市内約20の指定子宮頸がん検診医療機関で、細胞診を受ける30~65歳の中から、研究への参加希望者を募る。HPV検査は一般的に4000~8000円かかるが、研究では1000円。細胞診の際に採取した検体で検査できる。二つの検査のいずれか、または両方が陽性の場合は精密検査を受診してもらう。

 研究の目標は3万人。結果をもとに、HPV検査を含めた子宮頸がんの検診体制を構築し、県内全ての自治体で実用を目指す。小林教授は「大規模な実験になる。日本のみならず、アジア各国も参考にする貴重な結果になるだろう」と期待した。

 子宮頸がんやHPV、研究についての詳細はhttps://www.bdj.co.jp/s/study-hpv-kagoshima-u/の動画で説明する。協力する鹿児島市の医療機関は今後も増える予定。研究への参加希望者は事前に受診医療機関に問い合わせを。研究に関するリーフレットは、同市の産科婦人科病院や保健所に置いている。

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