新茶の色や香り、手触りなどを確かめる茶商ら=9日、鹿児島市の県茶市場
日本一早い2025年産新茶の初取引が9日、鹿児島市の県茶市場であった。24年産県内荒茶生産量が初の全国1位となった追い風もあり、「最高の滑り出し」と県茶業会議所。1キロ当たりの平均単価は前年を268円上回る4137円、最高値も1068円高い2万1308円と、いずれも令和以降で最も高かった。
入札場には、錦江や中種子、枕崎など4市3町の79点3.9トンが並んだ。生育が前年より4日ほど遅れた影響で、前年比で25点、数量は2トン少なかった。県内茶商21社の担当者らは茶葉を手に取り、鼻に近づけ、色や香りを吟味していた。
県茶業会議所によると、生育状況は平年並み。冬に休眠して養分を蓄えた木が、最近の気温上昇で一気に芽を出してきたという。冬の霜害もなかった。一番茶は5月下旬まで出荷が続き、店頭では早くて今月中旬から並ぶ予定。
同会議所の柚木弘文会頭は、茶産地日本一となったことで、全国から注目や期待を集めているとして「国内はもちろん海外も視野に入れた安全、安心でクリーンなかごしま茶の生産流通に一層努めていく」と話した。
24年産の県内荒茶生産量は前年比3%増の2万7000トン。1959年に都道府県別統計を開始して以来、初めて静岡県(2万5800トン)を抜いた。25年産の栽培面積は前年の8150ヘクタール程度を見込んでいる。