覚書を締結する許深福社長(左から2人目)と椎木伸一市長(同3人目)=15日、出水市上鯖渕
半導体ウエハーの検査設備などを製造する台湾の筑波科技は15日、鹿児島県出水市に日本支店を開所した。台湾企業の出水市進出は初めて。自社製品をPRする日本の拠点とする。日本企業と連携し、スマート医療機器関連の研究センターを市に開設する意向も示した。
熊本県に進出した半導体受託生産の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)と取引があり、新幹線で行き来できる場所を模索していた。出水駅東口に近い中古住宅(敷地面積661平方メートル)を改修した。
台湾から派遣された2人が支店に常駐し、半導体ウエハー検査装置やスマート医療機器といった自社製品の販売代理店を探す。台湾での協業を希望する日本の半導体材料メーカーに、台湾の顧客を紹介する事業も手がける。
鹿児島県はTSMC進出を機に、台湾を念頭に関連企業誘致に力を入れる。15日に現地であった開所式には、陳銘俊・駐福岡台湾総領事からの紹介で、塩田康一県知事も出席した。
筑波科技の許深福(シュシェンフー)社長(65)は「台湾で積み重ねてきたスマート医療や半導体設備の成功体験を日本でも広げていきたい」とあいさつ。椎木伸一市長は「連携を図り互いの経済発展につなげられれば」と述べた。双方は産業振興や交流推進での覚書も締結した。
許社長は式後、研究センターを開設する考えを明かした。関係者によると、既に出水駅西口側に約6200平方メートルの土地を購入している。