野生イノシシが移動する獣道に経口ワクチンを散布する関係者=16日、都城市内(宮崎県提供)
宮崎県都城市の用水路で、家畜伝染病の豚熱(CSF)に感染した野生イノシシの死骸が見つかったことを受け、宮崎県は16日、野生イノシシによる感染拡大を防ぐための経口ワクチン散布を始めた。散布エリアは発見場所から半径10キロ内の「感染確認区域」で、同市に加え、隣接する高原町、小林市の一部も含まれる。
散布場所は、イノシシが移動に使う獣道など。県猟友会などへの聞き取りをもとに、都城市84地点、高原町19地点、小林市6地点を選定した。作業には県、各市町、県猟友会から40人が参加し、16日は24地点に散布した。5日間以内に完了する見込み。1カ月後には、摂取状況を見て2回目の散布を行う。
県は、県内の養豚全てがワクチン接種済みで、移動・搬出制限を設けていないことなどを理由に感染確認区域を示していなかったが、散布現場への立ち入りや経口ワクチンの持ち去りを防ぐため公開した。散布地点には、注意喚起の張り紙を掲示した。
県家畜防疫対策課は「野生イノシシは警戒心が強いため、散布地域に近づくのは極力控えて」と呼びかけている。