給油するガソリンスタンド店員。この日のレギュラーガソリンは1リットル当たり210円だった=17日、西之表市西之表
鹿児島県のレギュラーガソリンの平均小売価格が1リットル当たり196円を超え、最高値を更新した。輸送コストのかかる離島では、200円の大台を突破する給油所もある。国は本土からの距離や流通形態などに応じて補助を出すものの、比較的距離が近く油槽設備が整う島ほど恩恵は薄まる。島民や事業者からは支援の見直しを求める声も上がる。
西之表市のある給油所は、昨年末から200円台で、今年4月上旬からは210円となっている。14日時点の県平均小売価格は196円20銭。全国平均の186円50銭を10円近く上回る。種子島ではさらに15円ほど高い計算だ。
政府は石油元売り会社に補助金を支給し185円程度になるように抑制しているが、基準は全国平均。17日に給油した中種子町野間の会社員女性(38)は「あまりに高すぎる。補助金の恩恵は感じられない」と明かす。
奄美大島でも最近、200円前後が目に付く。奄美市で飲食店を経営する男性(75)は、自宅がある瀬戸内町まで片道約40キロを週2、3回、車で往復する。商品も運ぶため自家用車は欠かせず、「経済的には厳しいが仕方ない。電気を小まめに消すなど節約していきたい」とこぼす。
県本土では170円台の給油所がある中、輸送コストがかかり市場規模が小さい離島は高値傾向が続く。国は離島支援事業により補助するが、屋久島町で給油所を経営する内田正喜さん(53)は「それだけでは賄いきれない」と明かす。
支援事業は、本土からの距離や油槽設備の有無などを勘案し1リットル当たりの補助額を算出する。ドラム缶でフェリー輸送する十島村の5島は販売量が見込めないこともあり県内最高額の35円。一方で、油槽所がありタンカーによる大量輸送ができる種子島や屋久島などは最少額の10円にとどまる。ただ油槽所があれば人件費や維持費もかさむ。
政府は原油価格の下落が見込まれるとして、17日からは石油元売り会社への支給をゼロにする。内田さんは「地域ごとの実態に応じた支援をお願いしたい」と求めた。