PTA会費が給与から同意なく引き去られていたとして、鹿児島市内の県立高校の40代男性教諭が、校長とPTAを相手取り、会費の返還を求めた訴訟の控訴審判決が22日、鹿児島地裁であった。窪田俊秀裁判長は、請求を退けた鹿児島簡裁の判決を支持し、請求を棄却した。
教諭は同校に着任した2017年度から22年度に支払った会費計1万6560円の返還を求めていた。判決は、教諭が初任校に着任した03年度から、口座振替でPTA会費を納入していた点を指摘。給与支給明細書とその他控除明細票で会費の支払いを認識しながらも異議を述べていなかったことなどを挙げ「入会する黙示の意思表示をしたものと認められる」と判断し、訴えを退けた。
その上で、「PTAへの入会に関する周知や意思確認のあり方を含め、議論が深められていくことを期待する」と付言した。
判決を受け、教諭は「棄却されたのは残念。任意団体が入会の意思表示を取ることなく、会費を給与から徴収することが認められてよいとは思えない」とコメント。上告するかは「判決文を精査し、弁護士と相談する」としている。
校長は「判決文を読み込めていない上、判決が確定していないため、コメントは差し控えたい」としている。
■PTA ペアレント(親)、ティーチャー(教員)、アソシエーション(組織)の略。1946年、終戦後の民主化のために派遣された米国教育使節団が、父母と教員が協力して団体活動を行うことを勧める報告書を発表し、文部省(現文部科学省)の指導で全国各地につくられた。学校の後援組織ではなく、保護者が学校と連携して子どものために活動する社会教育団体との位置付けになっている。52年に全国組織「日本PTA」が発足し、後に公益社団法人「日本PTA全国協議会」に改編された。