再開する湯川内温泉かじか荘「下の湯」で、湯を確かめる山口貴史代表=出水市武本
昨年8月の台風10号で甚大な被害を受け、復旧作業が続いていた鹿児島県出水市武本の湯川内温泉かじか荘が26日に再開する。前所有者が閉めてから約1年7カ月ぶりの営業となる。山口貴史代表(53)は「多くの人の協力に感謝しかない。本物の温泉を体感してほしい」と来湯を呼びかける。
同温泉は約270年前に発見されたとされる。アルカリ性単純温泉で、温泉が浴槽の底から湧き出る「足元湧出」が特徴。「下の湯」と「上の湯」の2カ所の浴室がある。
2023年9月に閉鎖されたが、一般社団法人純温泉協会(大阪)の代表理事を務める山口さんが24年7月に購入。再開準備を始めた8月末、台風10号が襲来し、浴室や脱衣所に無数の石や川の水が流れ込んだ。
山口さんは「価値の高い温泉を守りたい」と復旧を決断。支援の呼びかけに、多くの善意が寄せられた。それらも活用し、業者に一帯に堆積した土砂や石を除去してもらい、県内外から集まったボランティアが浴室などの修復に当たった。
計20回作業に参加した熊本県水俣市の看護師、花田順子さん(54)は10年来のファン。「力になりたいと取り組んできた。カジカガエルの鳴き声が聞こえ、静かにゆっくりつかれる雰囲気が好き」と再開を喜ぶ。
26日から7月中旬まではプレオープン期間として、午前10時~午後6時(午後1時半~2時半は休憩)の営業。入浴料は12歳以上300円(通常営業時は460円)など。原則水・木曜休。今後の運営への寄付も募っている。電話=0996(68)0085。