防災士の三枝祥子さんが常備する防災グッズ
ゴールデンウイーク(GW)に帰省や旅行を予定する人は多い。楽しみで訪れた旅先でも、一転して地震などの災害に遭うリスクはある。慣れない場所での備えをどうすべきか。鹿児島県内の専門家や識者は、事前の情報収集や手軽な防災グッズが安心につながるとアドバイスする。
「まずは訪問先の災害リスクを知ることが大切」と話すのは鹿児島大学教育学部で防災啓発に取り組む黒光貴峰准教授(48)。「目的地の自治体情報や気象庁の災害情報は特に重要」と強調する。携帯電話で通信できない状況を想定し、ハザードマップなどのデータをあらかじめ端末に取り込むことも有効だという。
最低限用意したい物もある。防災士の三枝祥子さん(42)=鹿児島市=はポーチを常備。中身は携帯トイレや防災用のアルミポンチョ、マスク、除菌シート、傷薬、一口ようかんなど。どれも100円ショップやホームセンターで購入できる。昨年12月に能登半島地震で被災した石川県輪島市に災害ボランティアで入った経験から「常に持ち歩いていると安心」と勧める。
鹿児島市易居町で防災ショップ「カフェ茶花」を営む吉永めぐみさん(58)は「旅行は備えを考える機会だと発想を変えてほしい」と話す。東日本大震災をきっかけに、県内外の被災地支援に回って得た知識として「親族の連絡先を書いたメモやモバイルバッテリーなどは防水に優れた入れ物に保管を」と助言する。
黒光准教授は、避難訓練の経験がある人でも、いざという時に迅速、的確に動けるかは分からないと指摘する。被災時のイメージが大事で、「例えば宿泊施設の非常口や避難経路は必ず把握するなど、できることを実践してほしい」という。安全な旅行にするためにも少しの備えと意識付けが必要だ。