〈資料写真〉自衛隊基地の整備が進む馬毛島=1月10日、西之表市の馬毛島上空(本社チャーター機から撮影)
南日本新聞社は鹿児島県民を対象に安全保障問題の意識調査を4月に実施した。米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う西之表市馬毛島の自衛隊基地整備について、賛成は59.4%で前回2024年と比べて1.1ポイント上昇し、23年と比べると0.9ポイント低下した。反対は33.2%で前年比1.2ポイント減だった。賛成の理由は「国防の観点から必要」が80.8%(前年比3.5ポイント増)で3年連続最多だった。
防衛省は24年9月、人手や資材不足、離島の気象条件を理由に工期の3年延長を発表。2月の西之表市長選では、過去2度の選挙で基地整備に反対の立場を取っていた現職が、賛否を示さない「黙認」の形で対応して3選、馬毛島を取り巻く環境に変化はあった。一方、厳しい安全保障環境を背景に、県民の意識に大きな変化はなかった。
意識調査は4月19、20日に行い、1042人から回答を得た。24年は賛成が58.3%で反対の34.4%を23.9ポイント上回っていた。
今回の回答は、計画に「賛成」32.9%(前年比0.5ポイント減)、「どちらかといえば賛成」26.5%(同1.6ポイント増)、「反対」14.2%(同1.0ポイント減)、「どちらかといえば反対」19.0%(同0.2ポイント減)、「分からない」7.4%(同0.1ポイント増)だった。
賛成の理由は「国防の観点」のほか、「地域活性化や経済効果が期待できる」10.7%(同1.0ポイント減)、「着工し、整備が進んでいる」5.2%(同0.6ポイント減)、「その他」3.4%(同1.8ポイント減)だった。
反対の理由は「戦争につながる恐れがある施設」64.7%(同0.6ポイント減)、「自然環境を守りたい」15.3%(同1.4ポイント減)、「騒音や事故が心配」14.7%(同1.7ポイント増)だった。
賛否を男女別で見ると、男性は賛成70.7%(同1.8ポイント増)、反対24.2%(同3.8ポイント減)で賛成多数だったのに対し、女性は賛成37.1%(同6.5ポイント減)、反対50.5%(同5.8ポイント増)で反対が過半数を超えた。「分からない」と答えた割合も女性は12.4%(同0.6ポイント増)で男性の5.1%(同1.9ポイント増)より多かった。
年代別で賛成の割合は20代が78.9%で最も高く、30代75.5%、60代64.7%の順。反対は70歳以上38.1%、50代32.3%、60代30.9%と続いた。
▽調査の方法=鹿児島県内の18歳以上を対象に4月19、20の両日、固定電話と携帯電話に、コンピューターで無作為に発生させた番号をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。自動音声応答通話(オートコール)方式を採用。携帯電話で同意した人にはショートメッセージサービス(SMS)を使い質問に答えてもらった。1042人の回答を得た。性別の内訳は男性686人、女性339人、答えない17人。