口頭弁論後の会見で空襲体験を話す上妻忠昭さん(中央)=13日、鹿児島市
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備を巡り、防衛省への市有地売却は裁量権を逸脱しており違法などとして、市民が八板俊輔市長と国に損害賠償を請求するよう市に求める住民訴訟の第4回口頭弁論が13日、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)であった。空襲体験者で原告の無職上妻忠昭さん(85)=西之表市=が「戦争になれば基地だけでなく、周辺の民間人も狙われる」と訴えた。
上妻さんは80年前に神戸市で空襲を経験し、「母は子供3人を連れ、燃える中を逃げ回った」と意見陳述した。翌朝、自宅と周辺の家屋は焼失していたという。終戦後、リヤカーや徒歩、船を乗り継ぎ父親の故郷・種子島へ帰った。
弁論後の会見で「あんなに恐ろしい経験はない。市長が基地反対を貫かなかったのは残念。裁判所は正義の判断を示してほしい」と話した。