競馬について語る武豊さん(右)=15日、曽於市の南九州畜産獣医学拠点
日本中央競馬会(JRA)の武豊騎手のトークショーが15日、鹿児島県曽於市財部の南九州畜産獣医学拠点(SKLV=スクラブ)であった。1987年のデビュー以来、JRA通算4577勝を挙げるなど56歳の現在も第一線で活躍し続けるトップ騎手。獣医師を目指す若者に期待を寄せるとともに、40年近い騎手人生をざっくばらんに語り、全国から集まった約700人の聴衆を魅了した。
鹿児島大学と同市が連携して整備したスクラブの開設1周年記念。武さんの先祖は鹿児島出身という。
獣医師は「大きな力」と存在意義を強調。全国の獣医学部生の学びの場であるスクラブを「立派な施設。獣医師は絶対に必要な人たちなので励んでほしい」とエールを送った。
競馬で勝つコツについて「(勝てなかったときに)馬になぜ走らなかったのかと聞きたいが、相手は言い返せない。本当に難しい」と率直な思いを吐露。その上で「強いて言うなら、分からないからいいのではないか」と語った。競馬はファンの応援で成り立っていると感謝し、「それに応えるためにいいレースをするのが大事。ずっと勝ちたい」と意欲を見せた。
競馬好きという前原眞理子さん(72)=曽於市末吉=は「ベテランなのに、馬の気持ちが今も分からないと言っていたことが印象深い。謙虚で、おごらない姿勢こそ一流だと思った」と話した。