小泉進次郎氏
江藤拓農相の後任となった小泉進次郎氏について、鹿児島県内の農林水産業関係者からは21日、「生産者の実情を発信してほしい」「農政分野は経験不足では」と期待と不安が入り交じる声が聞かれた。
肝付町後田の畜産業女性(73)は、米価をはじめ食料自給率低迷や日米関税交渉など課題が山積する中、新大臣がどのような政策を打ち出すか気をもむ。小泉氏に「斬新な考えを持つ人。思い切った対策を」とエールを送る一方で、「参院選を見据えての人気取りだけになっては困る」と注文した。
2023年の県農業産出額5438億円のうち、豚や肉用牛を中心とする畜産は約69%を占めるものの、子牛価格は低迷し飼料代や電気代といった生産コストは高値が続く。薩摩川内市の畜産農家男性(77)も「農家目線で物価高対策に取り組み、希望の持てる農業の道筋を示してほしい」と期待した。
物価高に苦しむのは、水産業も同じだ。ヒラメ養殖などを手がける垂水市の水産会社専務(39)は「養殖に必要な電気代は、ここ数年で1.5倍になった」と明かす。
小泉氏は、自民党農林部会長の経験があるものの“農政通”としてのイメージは薄い。精通しているはずの江藤氏も舌禍で途中退場した。「水産業の実情をどこまで分かってもらえるか。国には頼らない経営を模索していきたい」
元環境相の起用に声を弾ませるのは、県森林組合連合会の野村輝明専務(70)。「小泉氏は二酸化炭素の吸収源としての森林を知っている」と歓迎する。森林整備や植林などの事業に触れ「温暖化対策にも目を向けた施策を」と話した。