電線に止まったスズメ=姶良市の蒲生高校
鹿児島県姶良市の蒲生高校にはスズメが多い。校舎に巣を作り、電線や屋上などあちこちでチュンチュンチュン。「多いときは生徒数(213人)ぐらいいるかも」との声さえ聞こえる。花壇の被害やふん害がないわけではないが、「鳥も鳥で大変だろう」と放任。心和む“小さな隣人”との共生を続けている。
職員室などが入る2階建て管理棟の屋上と2階の窓の隙間に巣がある。15年以上前、巣を作らないよう関係者が幅3.7メートル、高さ0.5メートルのネットを張ったようだが、いつの間にか上部に隙間ができてスズメが侵入。結果的に外敵から守られる場所になり、近くに教室がなく、授業などに大きな支障もないことから、そのままになってきた。
スズメが頻繁に出入りし、周辺の電線や建物に並んでくつろぐ様子も見られる。敷地内ではその他にも複数の巣が確認されており、教員らの車にふんが落ちたり、花壇の草花が食べられたりすることもあるが、排除の機運が盛り上がることはないという。
国の調査で、里山や里地のスズメは絶滅危惧種に相当する水準で減っていることが分かっている。田んぼや自然に囲まれた同校の安藤新校長(57)は「鳥も生きるのに必死だろうから、みんなで温かく見守っていきたい」と話した。