環境大臣賞を受けた龍郷小の児童と教員=龍郷町龍郷
鹿児島県龍郷町の龍郷小学校は、2025年度の野生生物保護功労者表彰(環境省など主催)で環境大臣賞を受賞した。奄美大島で越冬する絶滅危惧種の猛禽(もうきん)類・サシバの生態調査や環境保全の重要性の発信などが評価された。児童は「これからも観察を続けたい」と意気込んでいる。
同校は20年ほど前から渡りをするチョウ「アサギマダラ」のマーキング調査に取り組み、17年度にも同賞を受けた。学びを発展させようと、2年前から同じく渡りをするサシバの生態を調べている。
調査や観察は、専門家とも連携しながら全児童15人で実施。個体に装着した衛星利用測位システム(GPS)のデータ分析では、秋から春にかけて奄美で過ごし、長野県などで子育てすることが分かった。専門家が撮った写真からは、バッタやカエルを食べていることを確認した。
サシバが子育てをする長野県や同じ渡り鳥のツルが越冬する出水市の児童とのオンライン交流、地域住民への成果発表にも取り組んだ。5年大坪咲和さんは「数千キロを渡ってくる姿をすごいと思いながら観察した」と振り返る。
児童は10月に宇検村で開かれる国際サシバサミットにも参加し、調査結果を発表する。6年池山夏輝さんは「環境が破壊されると、サシバやそのえさとなる生き物が過ごせなくなる。自然を守る大切さを広めたい」と力を込めた。
表彰は5月11日、東京都であった「全国野鳥保護のつどい」であった。