練習試合の合間に、部員たちに声をかける外部指導者の中野和昌さん(中央)=いちき串木野市の串木野中学校
部活動の指導を地域や民間の団体に委ねる地域展開(地域移行)が全国で進められる中、鹿児島県いちき串木野市では5月、前年度の市来中学校に続き、串木野中学校でも取り組みが始まった。まずは休日が対象。同校を含む串木野地域の4中学校が来春、1校に再編されることを踏まえた体制づくりも進める。
5月上旬の土曜、串木野中の体育館で男子バスケットボール部の練習試合が行われていた。「一つ一つのプレーを大事にね」。休憩中の選手に声をかけるのは、外部指導者の中野和昌さん(49)だ。
競技や小学生への指導などで30年以上バスケットボールに携わる中野さんは、子どもの入部を機に、7年ほど前からボランティアで土曜日に指導してきた。本年度からは手当てが支払われ、教員に代わって大会引率も可能となる。「先生たちをどう手助けできるか、引き続き考えながら進めたい」と話す。
市によると、生徒数305人(5月1日時点)の同校には10の部活動があり、20人が指導している。そのうち外部人材は中野さんら8人。残りは、地域主体の下で従事する「兼職兼業」の許可を得た教職員だ。
地域展開は、生徒にとっては専門的な指導が受けられ、教職員には業務負担の軽減が期待される。一方、外部指導者の確保は容易ではない。市はスポーツ協会などに打診したが、「指導経験がない」といった理由で難航したという。教職員が指導を希望する場合を除き、引き続き人材を探す。
来年度からは再編で、4校の生徒が串木野中に通う。生徒数は480人程度になる見込みで、現在ない二つの部活動も加わる。市は二つの部の指導者確保とともに、活動場所の調整など課題を検討する。市教育委員会で地域部活動コーディネーターを務める梅北成文さん(60)は「希望する部活動を続けられるよう、子どもたちを中心に考えていきたい」と話した。