背後に山が迫った喜入自治会館を曳家で移設するため設置された土台(手前)=20日、薩摩川内市平佐町
鹿児島県薩摩川内市平佐町の喜入自治会は集会などに使う自治会館を、持ち上げて動かす曳家(ひきや)による移設を進めている。現在は背後の山と近接し、自主避難所として利用できないのが大きな理由。ゆかりの人らの寄付もあり、移設後は増築も予定し、より住民が集まりやすい施設を目指す。
喜入自治会館はJR川内駅から東へ約1キロの住宅地にある。移設のきっかけは2024年1月の能登半島地震。安全な自主避難所が必要と感じた下水流隆会長(74)が、いとこで元会社会長の寺山満春さん=兵庫県=に相談。寺山さんは小学校時代に同市に住んだ縁もあって、2000万円の寄付を申し出た。
さらに現在建つ土地と隣接地も、所有者から寄付してもらった。建て替えより費用が抑えられる曳家で、山から20メートル離れた場所に移動させることを決めた。
業者によって建物をジャッキで上げるといった作業が進んでおり、28日にレールで移動させる予定。固定した後に増築し、ふれあい食堂のための台所や、子どもたちが遊べるスペースを整備する。現在建物がある場所は駐車場になる。
下水流会長は浄財や土地の寄付に感謝した上で、「避難所としても交流の場としても、いろんな人が利用できるように使い方を考えたい」と話した。