鹿児島県瀬戸内町の嘉徳海岸で県が進める護岸工事は不要として、住民らが県に公金差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁は原告側の上告を受理しない決定をした。23日付。請求を棄却した一、二審判決が確定した。県は「住民の生命や財産を守るため、早期に整備を進める」としている。
海岸は2014年の台風で砂丘が奥行き最大約20メートル浸食された。県は事業費3億4000万円で長さ180メートル、高さ6メートルのコンクリート護岸の整備を計画。原告は自然環境に影響があるなどとして19年3月、公金差し止めを求めて提訴した。
23年2月の一審鹿児島地裁判決は「(県の判断は)不合理であるとはいえない」と請求を棄却。昨年4月の二審福岡高裁宮崎支部判決も支持した。
塩田康一知事は「護岸建設の正当性が全面的に認められた。円滑な遂行に向け法的措置を含むあらゆる手段を取っていく」とコメント。上告人の武久美さん(50)とジョンマーク高木さん(52)は連名で「事業は住民の理解や世界自然遺産の価値といった点で検討が欠けている」とコメントを出した。