鹿児島県新体育館、設計図に9億円 高額な提案に県議「もう後戻りできない」と戸惑い

2025/05/27 11:30
県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
 鹿児島県は26日、鹿児島港本港区に計画する新総合体育館のメインアリーナの客席数を8000席で維持する方針を示した。建設費は17億円増え、一般財源負担額も膨らむ見通しとなる中、県議会は6月定例会で9億300万円もの多額を要す設計の是非を判断することになる。県議会向け説明会では「もう後戻りできない」との声が上がり、戸惑いや懸念も聞かれた。

 「9億円もする設計図を見ながら議論するのか。後戻りできない金額だ」。自民党の本田静議員が指摘した。「設計費は県民からも『高い』との意見がある。もう少し前段階のイメージ図で議論を深めたい」と要求。県の担当者は「設計をして初めて詳細で具体的な資料が作成できる」と設計の意義を繰り返し、理解を求めた。

 建設費を巡っても、当局は「これ以上精緻なものは実施設計までいかないと出せない」と見解を示す。文教観光委員会に所属する公明党の松田浩孝議員は「3月議会から説明があまり変わらない」と苦言を呈し、「今回の予算に賛成すると、全部賛成になる」とみる。「議会の責任は非常に重い。慎重に審査を進めていくしかない」と話した。

 県民連合の湯浅慎太郎議員は、県が事業の節目ごとに説明するとしたことを「収穫」と捉える。仮に設計費を認めても「高額の建設費が示されたら取りやめることができる」。一方、他の予算が減額される懸念もあり、県が「可能な限り影響を与えない」としていることに「不安は拭えない。注視していく」とした。

 県が8000席を維持したことに、自民の柴立鉄平議員は「評価する」と強調。「先送りしていけば額は大きくなるだけ。情報を得ながら提案が適切なのか責任を持ち審査する」と語った。

 計画に一貫して反対する無所属の岩重仁子議員は県民から「計画を止めて」との声が相次いでいるとし、「今まで反対意見が通ることもなく、出来レースのよう。県民投票などで意見を聞く必要がある」と述べた。

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