梅毒感染のイメージ
第67回鹿児島県公衆衛生学会(県公衆衛生協会、県主催)が13日、鹿児島市の県医師会館であった。保健師や臨床検査技師らが、県民の健康生活に関する調査研究について発表し、医療関係者ら約180人が耳を傾けた。23項目の中から二つを紹介する。
■増える梅毒
国内では性感染症「梅毒」の患者が増えている。鹿児島市保健所の中村匡宏さん(56)は20~24年度のデータを基に、同市の発生動向の分析結果を発表した。
発生件数は20年度16件、21年度56件、22年度93件、23年度105件と年々増え、4年間で約6.6倍となった。24年度(同年12月末時点)は58件。世代別の累計感染者数は、20歳代が113件で最多だった。
さらに性風俗との関連をみると、男性感染者のほとんどに利用歴があり、女性感染者にはほぼ従事歴があった。男性は20~50歳代で幅広く感染。23年度は40歳以上の割合が高かった。
一方、女性従事者の感染割合は減少。24年度は全国並みだった20年度の3分の1だった。しかし、女性感染者の割合は増加。24年度は37.9%で、20年度(18.8%)の約2倍だった。
中村さんは「性風俗に関連のない女性感染者が増えている」と指摘。特に若年層が多いとし、「若い人が多い地域は必然的に多くなる。交流サイト(SNS)やマッチングアプリの普及も一因では」と分析した。
■管理栄養士が被災地で活動
2024年元日に発生した能登半島地震を受けて、鹿児島市は1月31日~4月1日、4人一組の支援チーム計15班を順次派遣した。奇数番号の班には管理栄養士を配置。その1人今村素子さん(56)=当時、同市健康福祉局保健部=が報告した。
活動は、同市が23年3月に独自に作成した「災害時の栄養・食生活支援活動マニュアル」に基づいて実施。被災地への派遣体制や災害発生から24時間以内、72時間以内など4段階に分けて栄養補給の手段や被災者への対応がまとめられている。
今村さんは、避難者87人(うち65歳以上62人)が身を寄せる二次避難所の体育館で、健康・食事の状況や栄養量を把握した。高血圧や糖尿病など基礎疾患のある避難者が多く、栄養相談と健康教育は延べ78件に上った。さらに避難者の生活習慣を聞き取り、食事指導や保健師による健康体操につないだ。
「マニュアルが生かされて活動はスムーズだった」と今村さん。一方で、切れ目のない被災地支援が重要とし、「支援のため栄養士が不在になっても、通常業務が滞らないような体制整備が必要だ」と述べた。