6月初旬からの備蓄米販売を目指すサンキュー新栄店の米コーナー=27日、鹿児島市新栄町
政府が随意契約で放出する備蓄米について、鹿児島市のタイヨーは27日、2022年産約1500トンを申し込んだ。5キロ当たり税抜き2000円程度での販売を目指す。県内に店舗を持つ流通大手も続々と手を上げており、6月中には店頭に並び始めるとみられる。
タイヨーは、運営するディスカウント店「サンキュー」と合わせ県内76店舗、宮崎県内17店舗での販売を見込む。同社グロサリー部の山本毅部長(50)は、大手に限定した随意契約では流通が首都圏に偏る可能性があるとして、「食のインフラを担う地元スーパーとしてコメを行き渡らせ、地域格差を解消する役割を果たしたい」と力を込めた。
鹿児島市のサンキュー新栄店では27日、多くの買い物客らがコメを吟味していた。同市武岡2丁目の無職男性(80)はコメの高騰以降、食費を切り詰めるため、1~2キロの少量パックを購入してきた。「2000円台なら5キロでも気軽に買える」と待ち望んだ。
流通大手イオンは約2万トンを調達し、6月初旬から全国で順次販売すると発表。イオン鹿児島店(同市)の担当者は「本部から通達はなく、詳細はこれから。安定して売り場に出せるようになれば」と期待した。
県内に6店舗を構えるディスカウント店「ドン・キホーテ」は「発売日や価格は固まっていない」、同じく申し込みが明らかになったドラッグストア「サンドラッグ」は、全国900店舗のうち「何店舗で販売するか検討中」と答えた。
小泉進次郎農相は小規模スーパーや米穀店への直接販売にも意欲を見せるが、品質を不安視する声も。同市で米穀店を経営する40代女性は「放出分は21、22年産。普段は銘柄米を扱っているので、味が劣る可能性がある古いコメは扱いたくない」と慎重だった。