天城町防災センターの骨組み工事を巡る交付金不正受給に絡み、町民7人が森田弘光町長に対し、受注した建設会社などに6248万円の損害賠償を請求するよう求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁(前原栄智裁判長)は4日、町長に対し、同社などに請求額の一部である加算金2142万円を請求するよう命じた。
判決によると、本来の工期(2015年2月〜16年3月)から、作業の遅延などで実際は約2カ月遅れたが、16年3月、同社は工期を偽った工事完成届を町に提出。担当課長らは虚偽を黙認し、当時の町長や副町長は検査調書を決裁した。
町は予定通り終了したと国に虚偽の申請をし、5億6688万円の交付金を受けたが、町議会特別委員会の調査で発覚。21年5月までに交付金の一部約4030万円を返還し、加算金約2218万円を納付した。
判決では、加算金については、同社など不正受給に関わった5人に連帯責任があると認定。金額は、従来額から町幹部らが自主返納した給料で一部相殺した。交付金については、原告側は「町職員が工期を延長する旨を国に申請すれば受け取れた」と主張したが、地裁は国が申請を認めた可能性は低いとして棄却した。
原告側の代理人弁護士は取材に「主張の一部が認められたことは評価する。交付金については控訴する方針」と述べた。町側は「判決文が届いてから対応を考えたい」としている。