シーズン終盤に釣れたアオリイカ=5月31日、指宿市の開聞岳沖
〈あゆLOVEフィッシング―上園あゆみ〉
春から夏へと移り変わるこの時季。イサキやキスといった夏の魚たちが活発になり始める一方で、春のアオリイカ狙いは終盤を迎えています。今回は今シーズンの区切りとして、指宿・開聞岳沖でティップランエギングに挑戦しました。
この時季、海中ではアオリイカの産卵活動もほぼ終息。正直、これから下火になる釣りものですが、春イカシーズンの締めくくりとして釣っておきたい! という、心残りを晴らすための釣行でした。
午前6時半に川尻港を出船し、7時に釣りスタート。船を潮に乗せて流しながらエギを斜めに落とし込み、穂先のわずかな当たりに神経を集中させます。この日は風も潮も穏やかで集中しやすいコンディションでした。
30分ほどたった頃、小さく穂先が押さえ込まれる微細な当たりが。最初は「流れ藻かな?」と思いましたが、合わせをいれるとズシッとさおに乗る重みがあります。慎重に巻き上げると、姿を見せたのは500グラムほどのアオリイカでした。春にしては小ぶりですが、今季最後となるかもしれない貴重な1杯です。
その後は沈黙が続き、エギを変えたりレンジを探ったりしても反応は得られず、正午には納竿(のうかん)となりました。
今シーズンは、自身の出産も重なり、なかなか釣りに行けませんでしたが、種子島での実釣や鹿児島市でのエギング大会など、限られた中でイカを追いかけてきました。その締めくくりとなり、とってもうれしかったです。
春のアオリイカは、ティップランだけでなく、ヤエン釣りや泳がせ釣りでも楽しめます。ヤエンは独特の駆け引きが魅力で、ラインが引き出されるたびに神経が研ぎ澄まされます。一方、泳がせは比較的シンプルで、初心者でも良型に出合えるチャンスがあります。
これからの鹿児島の夜の海では、ケンサキイカ(通称アカイカ)が本格シーズンに入ります。ライトタックルで数釣りを楽しめる、夏の風物詩。春の余韻を胸に、次なる海へ。次にさおを握るその日まで、この1杯の記憶を大切にしたいです。