県の新総合体育館事業が計画されるドルフィンポート跡地(中央)=鹿児島市、2024年1月、本社チャーター機から撮影
鹿児島県の塩田康一知事は13日の県議会一般質問で、鹿児島港本港区ドルフィンポート跡地(鹿児島市)に計画する新総合体育館整備の賛否を問う住民投票の実施について「今、議論になっているのは財政運営上の影響がどうかということ。この段階での住民投票は慎重に考える必要がある」と否定的な見解を示した。
岩重仁子議員(無所属、鹿児島市・鹿児島郡区)の質問に答えた。
桑代毅彦観光・文化スポーツ部長は、多くの住民投票では首長や議会に結果を尊重する義務を課しているとし「県民投票が県議会での総合的な視点からの議論に制約を与える可能性もある」と強調。これまで県議会の了承を得て計画を進めてきた経緯を踏まえ「賛成・反対のみを表明する県民投票は慎重に判断すべきではないか」と主張した。
6月定例会では新体育館に絡む93件の陳情が委員会付託され、事業の見直しを求める意見が全体の約6割、県民投票を行うべきとの要望が約4割に上った。
岩重氏は「多額を費やす計画に対する県民理解が広がっていない」と指摘。全国で進む民設民営による大規模施設整備への見解を尋ねた。塩田氏は「今後も効果的な情報発信に努める」とした上で「民設民営での整備は公共施設としての性格上、困難だと考えている」と述べた。
県は新体育館の設計を担う事業者を中立的な立場から審査・評価する設計審査会に関し、建築、都市計画、スポーツなど各分野の学識経験者ら6~8人程度で構成する方針を説明。1次審査である程度絞り込み、最終の2次審査前に、県民向け公開プレゼンテーションを検討するという。2次審査は他県に倣い非公開となる見通し。