街路樹再生プランで骨格路線として整備するナポリ通り=鹿児島市上之園町
街路を木々で覆って緑のトンネルをつくろうと、鹿児島市が1977~86年に推進した「グリーンストーム作戦」から約40年。市は街路緑化の新たな指針となる「街路樹再生プラン」を策定し、本年度から事業を始める。植え替えや撤去などにより中高木の40%を削減する内容で、量から質への転換を図る。
市公園緑化課によると、市が管理する街路樹は440路線で中高木約1万6000本、低木約82万2000本。高木は同作戦で植栽されたクスノキが多く、大木化、老木化し、落ち葉処理や根による舗装の持ち上げ(根上がり)が問題になっている。安全対策など維持管理費は年間約2億円に上る。
再生プランは、おおむね10年間を計画期間とし、街路の状況に応じて、植え替え、保全、適正配置、撤去などの対応を取る。10年間にかかる経費は28億5000万円。こうした対策で、今後30年間の維持管理費を累計で約13億円削減できると試算する。
植え替えは、大きくなりにくいクロガネモチやモチノキ、花が美しいツバキやヒトツバタゴなどを選び、適正配置は間引きが主。樹高が高く、強風時などに落ち葉の道路上への散乱が問題となるヤシ類は撤去を含めて検討する。
一方、ナポリ通り、パース通りなど5路線は骨格路線として重点整備し、緑陰や景観を意識したきめ細かな管理で、魅力的な空間創出を目指す。
同課の鮫島忍課長は「高く評価されたグリーンストーム作戦だが当時は植栽間隔が狭く、今では高木化して歩道を狭めるなどの支障も生じており、再生プランを策定した。長期的な計画なので、地域の理解を得ながら事業を進める」と話している。
■グリーンストーム作戦 市街地の宅地化で減少した緑を取り戻そうと、1977(昭和52)年から鹿児島市が道路を中心に進めた緑化事業。86年度までに26億円を投じ、当初約18万9000本だった植栽が約75万本(国、県、市道を含む)に達した。85年に第5回緑の都市賞(内閣総理大臣賞)を受けた。