「不祥事の検証が不十分だ」鹿児島県警の姿勢に県議会が注文…でも百条委は設けず「状況に変化がない」

2025/06/20 11:30
鹿児島県議会総務警察委員会に出席する岩瀬聡県警本部長(前列左)ら県警幹部=19日、県議会
鹿児島県議会総務警察委員会に出席する岩瀬聡県警本部長(前列左)ら県警幹部=19日、県議会
 鹿児島県議会総務警察委員会(白石誠委員長)は19日、県警の不祥事再発防止に関する質疑を交わした。委員からは「不祥事の検証が不十分だ。組織改善の覚悟がまだ足りない」と指摘する声が出た。一連の問題を解明するために参考人招致を行うよう求める陳情1件は継続審査とした。

 委員の一人は「枕崎署員の盗撮事件」で署長と首席監察官(いずれも当時)が情報伝達を誤り、捜査が一時中断した事実に言及。「今も詳しい状況が分からない。検証したとは言えず、質問にもまっすぐ答えていない」と疑問を呈した。

 別の委員も不明瞭な点が残るとして、参考人招致が必要だと指摘した。首席監察官が昨年12月に委員会に出席したことを念頭に「署長からも話を聞くことが重要だ」との考えを示した。

 県警の西畑知明警務部長は「県警が変わらなければいけないことを理解し、全職員挙げて取り組んでいる。質問に対しては精いっぱい答えているが、一層努力したい」と答弁した。

 県警側は、市民からの相談や苦情への対応改善策を巡り、組織的な把握と聴取内容の正確性を担保する仕組みづくりを進めていると説明。来庁者には内部システムに入力した情報を印字し提供したり確認を求めたりする考えを示した。

■百条委の設置陳情、自公の賛成多数で継続審査に

 鹿児島県議会議会運営委員会は19日、相次ぐ県警不祥事を巡る調査特別委員会(百条委員会)設置を求める陳情を3月に続いて継続審査とした。自民、公明両会派の賛成多数で決めた。

 自民県議団の禧久伸一郎議運部会長は「総務警察委員会で引き続き審査を行い、元生活安全部長の裁判の状況次第では設置を検討するとした考え方を変えるほどの状況の変化が特にない」として継続審査を求めた。県民連合の上山貞茂議員は「百条委が真相解明に残された手段」と採択を要求した。

 県警不祥事を巡る陳情は計22件。最大会派の自民が現時点での設置見送りを決めた昨年9月以降に相次いで提出された。

 このほか、委員会のウェブ配信を求める陳情は、2026年度からの配信に向けた必要経費を25年度当初予算に計上し、準備を進めていることから採択とした。

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