「九州南方の公海で船舶衝突」を想定、国内で初めて日米フィリピンの海保機関が合同訓練 300人規模、鹿児島湾で海難救助の連携確認

2025/06/20 21:56
海中転落者を引き上げる海上保安庁のヘリコプター=20日午後2時40分、鹿児島湾
海中転落者を引き上げる海上保安庁のヘリコプター=20日午後2時40分、鹿児島湾
 日本と米国、フィリピンの3カ国は20日、海上保安機関による合同訓練を鹿児島湾で実施した。日本での開催は初めてで、300人規模が参加した。捜索活動や救助訓練を通して各国の連携や保安能力の向上を図り、海洋秩序を保つ「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指す狙い。

 訓練は、九州南方の公海上で船舶同士が衝突し、火災や海中転落者が発生したとの想定。海難状況の情報伝達、捜索計画、救助、消火活動に重点を置いた。

 日本は第10管区海上保安本部の巡視船「あさなぎ」(6000トン)や鹿児島航空基地所属で海上保安庁最大級のヘリコプター「はやたか」などを投入。フィリピンからは巡視船「テレサ・マグバヌア」(2265トン)、米国からは巡視船「ストラトン」(排水量4600トン)が参加した。

 各機関は「貨物船と衝突した漁船で火災が発生。乗組員が海中転落した」との情報を10管運用指令センターから受け、捜索区域を決めるなどの救助計画を策定。ストラトンの無人機が撮影したリアルタイムの映像をもとに、転落者の人数や位置を共有した。

 米比は巡視船に搭載している小型艇をそれぞれ急行させ、要救助者に見立てた人形を引き上げた。はやたかからは機動救難士が降下し、要救助者役の潜水士を引き上げた。消火訓練では巡視艇「さつかぜ」(26トン)を漁船に見立て、3カ国の巡視船が放水した。

 訓練を指揮した10管の津村直文警備救難部長は「相互理解と信頼醸成を図れ、有意義だった。顔の見える関係を今後につなげたい。各機関で反省点や改善点を検証する」と話した。

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