約9億円の設計関連予算議案を賛成多数で可決する鹿児島県議会文教観光委員会=20日午前10時37分、県議会
鹿児島県議会文教観光委員会(岩重礼委員長、10人)は20日、県が鹿児島港本港区ドルフィンポート跡地(鹿児島市)に計画する新総合体育館整備事業の約9億円に上る設計関連予算議案を賛成多数で可決した。26日の最終本会議でも可決されるとみられ、県が「詳細な建設費を出すために必要」とする設計業務を担う事業者の選定に進む見通しとなった。事業に関する陳情85件の審査・採決も行い「賛否を問う県民投票の実施」は不採択とした。
審査は「県民の関心が高い問題」として18日に続いて開いた。予算案の採決前には、委員7人が所属する最大会派の自民が「あくまで設計費を容認するもの。建設費が示されたら改めて徹底した議論をして判断する」と指摘した。委員長を除く9人で採決し、会派別では自民、公明、県民連合が賛成し、無所属の橋口住眞氏のみ反対した。
事業の見直しや推進を求める陳情85件は172項目に分けて個別に採決。自民は事業の抜本的な見直し、建設地の再考、県民投票を不採択、経済効果の再検証や県民との意見交換会、早期整備は継続審査とした。陳情が求める内容により会派で意見が分かれたが、いずれも多数決で自民の方針に従う形となった。
桑代毅彦観光・文化スポーツ部長は「県議会や関係団体に丁寧に説明し整備を着実に進めたい」と述べた。岩重委員長(自民、鹿児島市・鹿児島郡区)は審査後の取材に「県民の関心を重く受け止めて議論した。建設まで認めた訳ではなく、改めて慎重に議論する必要がある」と強調した。
新体育館を巡っては、県がメインアリーナの観客席数を8000席で設計する方針で、建設費は推計423億円。6月定例会に提案した2025年度一般会計補正予算に、本体設計費と地質などの調査費計9億337万円を26~28年度に執行する債務負担行為で設定した。