(上)栗野駅で演奏する鹿児島信用金庫吹奏楽部。指揮は黒田清次さん(下)横川小学校(現霧島市)で演奏する鹿児島信用金庫吹奏楽部。指揮は黒田清次さん=いずれも1953年
今年創部90周年を迎える鹿児島信用金庫吹奏楽部の終戦直後の活動を伝える写真が多数見つかった。創部の中心となった黒田清次さん(故人)の次男清忠さん(86)=姶良市=宅で資料を整理中に出てきたもので地域貢献活動の様子が写されている。
同金庫吹奏楽部は、前身の鹿児島信用購買利用組合組合長だった清次さんが1935(昭和10)年7月に創部した。無声映画からトーキー映画に変わり、職を失った映画音楽の楽士を職員として雇用し、職場の士気向上と親和を図るための発足だったという。
鹿児島大空襲などで楽器や楽譜を失い、活動を中止した時期もあったが、戦後に復活。学校や地域で演奏を繰り返し、復興に貢献した。
「柿本寺信用金庫吹奏楽部」との名称で活動していた当時の写真を貼ったアルバム1冊が、清忠さんが会長を務めるランドアートの創業70周年を機に資料を整理するなかで見つかった。昭和20年代に県民を元気付けようと回った横川小学校や栗野駅、霧島神宮で演奏した様子などが撮影されていた。
吹奏楽部は創部精神を引き継ぎながら活動を継続してきた。鹿児島信用金庫の藤井浩平・業務執行役員お客様応援部長は「単なる文化部活動でなく、地域貢献を担う他のクラブとは違う側面がある」と説明。98年には全国信用金庫協会第1回信用金庫社会貢献賞「奨励賞」を受賞した。
現在も約30人が年間20回ほど学校での指導や地域の祭りなどに出掛ける。12月20日には記念チャリティー演奏会を鹿児島市の川商ホールで開催。大舞台で演奏機会の少ない小中高校の吹奏楽部にも出演を呼び掛ける。8月末までにメールouen@kashin.co.jpかファクス=099(225)0881=で申し込む。