実施わずか6%――国は旗を振るけれど…中学部活動の〝地域展開〟進まず 自治体の苦心浮き彫り 鹿児島県内

2025/06/25 05:52
兼職兼業制度を活用し、休日の指導も受け持つ教諭(左)=6月中旬、鹿児島市の桜島中学校
兼職兼業制度を活用し、休日の指導も受け持つ教諭(左)=6月中旬、鹿児島市の桜島中学校
 休日の部活動を民間団体や事業者に委ねている、鹿児島県内公立中学校の運動・文化部は6.2%にとどまることが、南日本新聞のアンケート調査で分かった。少子化や教員の過大な負担を背景に、部活動の地域展開(移行)として国が推進するが、自治体は指導者確保や費用負担への保護者理解に苦心している現状が浮き彫りとなった。

 調査は5月中旬から6月中旬、県内43市町村教育委員会を対象に実施。質問を郵送し、メールやグーグルフォームで回答を得た。

 調査結果によると、県内の市町村立中学(義務教育学校を含む)211校の運動・文化部1481部のうち、NPOや事業所に委託しているのは92部(6.2%)。2026年度から実施予定が152部(10.2%)だった。

 課題(複数回答)としては「指導者の担い手確保」を40市町村が挙げた。「参加費負担に関する保護者への理解促進」が29市町村。このほか「運営団体や指導者への費用確保」「生徒の安全確保や有事の際の責任の所在」「移動手段の確保」などが続いた。

 部活動の在り方を話し合う推進協議会は、38市町村が設置済み。2町が25年度内に設置予定で1町が検討中。2村が予定していない。指針となる推進計画は16市町が策定済み。4市町が25年度中に策定予定で、16市町村が検討中。7市町村が予定していない。

 国の有識者会議が取りまとめた提言は、26年度からの6年間を「改革実行期間」と設定し、31年度までに原則、全ての休日部活動で実施する目標を盛り込んだ。平日の取り組みも進める方針だ。

 県が設置する学校部活動地域連携等推進協議会の委員長を務める浜田幸史県立短期大教授=体育科教育学=は「学校だけにとどまらない課題もあり、改革が進んでいない」と指摘。さらなる推進には「学校、地域、保護者それぞれが制度を理解し、協力する雰囲気の醸成が必要」と話した。

 ◇部活動の地域展開とは 学校が運営する部活動の指導を外部人材が担う「地域連携」と異なり、運営を地域スポーツクラブや市民団体に委託する。国の有識者会議が名称を地域移行から地域展開に改めた。当初は25年度末までに達成する構想だったが、指導者の確保に加え、保護者負担といった懸念が噴出。移行時期を柔軟化することで理解を求めてきたが、改めて目標時期を31年度に設定した。

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