「高校の時からドラマの感想を言い合っていた」と話す迫田孝也(左)と和佐野健一=鹿児島市の南日本新聞会館
教師による児童へのいじめが争われた約20年前の裁判を描く映画「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」が公開された。児童の父親役は鹿児島市出身の俳優、迫田孝也(48)、幼稚園から高校まで鹿児島市で育った東映のプロデューサー、和佐野健一(47)が企画・プロデュースした。中学、高校の同級生で35年来の友人である2人に、見どころなどを聞いた。
-550人の弁護団に支えられいじめを訴える児童の家族と、報道により非難を浴びながら無実を主張する教師を、それぞれの視点で描く。
和佐野 作品を見て感じることがその人の真実。見る人によって感じ方や感想が違う。真実はあやふやであいまいであるということを表現した。
迫田 登場人物にとってそれぞれの正義は確固たるものがある。それぞれの正義がぶつかり合う面白さを感じながら演じていた。
-冒頭は児童側からの視点、後半は教師側から見た同じ場面を繰り返す。演じ分けはあったのか。
迫田 家族の視点から描く場合は、子どもを心配する父親の感情でせりふを言った。教師側に立って見ると、話が通じない怖い親と写るよう、教師役の綾野剛さんの言葉を遮断するように演じた。見る人の立場によって写り方は違うと思う。
和佐野 法廷で綾野さんが「でっちあげ」と訴える場面は前半と後半の2回あるが、全く同じカットを使った。教師に対する印象が全く違って見えるのは、前後の文脈や切り取り方。映画館で確かめてほしい。
-プロデューサーとして迫田の演技をどう見た。
迫田 (割り込んで)過去一番よかった(笑)。
和佐野 ずっと一緒で距離が近いので、判断できない時期もあった。ここ数年すごくいい役者と思うことが増えた。今回の役をしっかり表現してくれた。
迫田 最近、お芝居の実態に触れられた感触がある。芝居を考えるピントが合ってきたのかもしれない。
-同級生と仕事をした感想は。
迫田 駆け出し時代の「仮面ライダーカブト」から「遺留捜査」まで和佐野の作品に出てきた。少し引け目を感じた時期もあり、関係性を言わなかった。今作が初めて同級生と言えた作品でうれしかった。鹿児島で育った2人が若い頃の夢をかなえた映画となった。
和佐野 同級生だから使っていると思われると迫田の損なので、言ってこなかった。今回は父親役をやって余りある実力を持った俳優として出演依頼した。同級生で作ったと言えてうれしかった。
-今後の夢は。
和佐野 迫田主演の作品、こいつが真ん中にいるものを作りたい。迫田の伸びしろ待ち。
迫田 頑張らんといかん。お前言ったからね。「言っとらん」と言われたら困るから録音しとかんと。
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「でっちあげ」は鹿児島市の鹿児島ミッテ10とTOHOシネマズ与次郎、姶良市のシネマサンシャイン姶良で上映中。PG12。