平川動物公園で生まれたアマミトゲネズミ(同園提供)
鹿児島市の平川動物公園は、奄美大島にのみ生息する国指定天然記念物で絶滅危惧種の「アマミトゲネズミ」の繁殖に成功した。同園での繁殖は初めてで、一つのペアから雄3匹、雌2匹が生まれた。一般公開はしない予定。
同園によると、アマミトゲネズミは成獣で体長10センチ、体重120グラムほど。全身の毛はとげのように硬く、脚力が発達しており高くジャンプして外敵をかわす。園は環境省が策定した「トゲネズミ類生息域外保全実施計画」に2018年から参加。21年に飼育を始め、23年から繁殖に取り組んできた。現在は雄3匹、雌2匹の成獣を飼育する。
今年5月19日、繁殖ケージに設置した監視カメラで巣の中に子ネズミ5匹を確認した。6月27日現在、体長5センチ、体重65グラムほどで、いずれも順調に育っているという。父親は1歳、母親は2歳の個体。母親の体重測定から、出産日は4月26日とみられる。
全国でアマミトゲネズミを飼育するのは、同園や宮崎市フェニックス自然動物園、埼玉県こども動物自然公園など8施設。施設間で情報共有するなどして、飼育や繁殖に取り組む。子ネズミの誕生を受け、桜井普子飼育展示課長は「飼育員たちも喜んでいる。他の施設とも協力し、さらに繁殖を進めていきたい」と話した。