陶芸家・有山長佑さん
日展会員で陶芸家の有山長佑(ありやま・ちょうゆう、本名長蔵=ちょうぞう)さんが6月25日午前4時21分、肺炎のため鹿児島市の病院で死去した。同市の薩摩焼「本窯長太郎焼」四代窯元。89歳。白薩摩、黒薩摩の伝統と創造性を両立した格調高い作品で知られた。葬儀・告別式は親族で行った。自宅は非公表。
1935年、鹿児島市に「長太郎焼」第三代の長男として生まれる。多摩美術大学彫刻学科卒業後、県育英財団派遣の留学生として1年間欧州に学んだ。留学の経験を生かし、伝統を引き継ぎながら独自の作風を確立し、日展を中心に精力的に活動を続けてきた。長年にわたって後進の育成にも努め、文化芸術の発展に貢献した。
初代長太郎が手がけ、鹿児島市役所の本館玄関を飾る薩摩焼のレリーフが今春修復された際は、孫として助言。8月には卒寿記念の個展を予定していた。
日展審査員や日本新工芸家連盟顧問など歴任。2010年鹿児島県民表彰、19年度南日本文化賞。南日本美術展委嘱作家。