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鹿児島県内では梅雨が明け、最高気温が30度以上の真夏日が続く。気温や湿度が上がるこの時期に、気を付けたいのが熱中症だ。屋外だけでなく室内でも発症し、6月下旬には南九州市の80代女性が熱中症疑いで死亡した。暑さを避け、身を守るにはどうすればいいか。鹿児島大学病院救命救急センターの新山修平センター長(58)に日頃からできる対策を聞いた。
熱中症は発汗による体温調節がうまく働かず、体内に熱がこもった状態。めまいや大量の発汗が生じ、病状が進むと頭痛や嘔吐おうと、判断力・集中力の低下などの症状が現れる。
総務省の集計によると、県内で2024年5~9月、熱中症疑いで搬送されたのは2253人(前年同期比707人増)。発生場所は住居が最多の4割で、次いで道路、公衆(屋外)だった。年齢別では65歳以上の高齢者が57.4%を占めた。
新山センター長によると、高齢者や基礎疾患のある人は重症化リスクが高い。特に高齢者は、水分不足に対する感覚機能や身体の調節機能も低下しているため注意が必要という。新山センター長は「一人で外出する時は携帯電話を持ち歩くことを意識し、すぐに連絡できる体制を整えてほしい」と助言する。
喉の渇きを感じなくても、こまめに水分を補給する。めまい、立ちくらみなどの症状や身体に違和感があれば休憩する。睡眠をしっかりとり、体調不良の時は無理しないなど、日頃からできる予防はある。
外出時には帽子や日傘を使用し、室内でも水分補給を意識したり、エアコンなどで自分に合った室温に設定したり、場所に応じた対策が求められる。
新山センター長は「誰にでも起こりうる身近な病気で、場合によっては致死的な状況に陥る。かかるリスクをできるだけ下げるためにも予防の努力を」と呼びかける。
会話中の相手の様子に異変を感じたり、身体を触ると熱かったりして、周囲が熱中症に気づけるポイントもある。各地の暑さ指数を基に、気象庁と環境省が発令する「熱中症警戒アラート」を確認するのも予防の一つだ。
県の集計(速報値)によると、今年6月1日~7月2日に計438人が熱中症疑いで搬送された。これから夏本番を迎え、7~8月は発症のピークとなる。新山センター長は「熱中症を疑ったら、遠慮なく救急車を呼んでほしい。早めの受診で命を救うことができる」と話す。