有川和秀さんの説明を聞くサバンナ・サチコ・リチャーズさん(手前右)=霧島市隼人
江戸時代中期に鹿児島県霧島市隼人の宮内原(みやうちばる)用水の開削を発案し、工事を進めた汾陽(かわみなみ)盛常の子孫で、アメリカ・ユタ州出身のサバンナ・サチコ・リチャーズさん(20)が3日、初めて同市を訪れた。歴史に詳しい地元の有川和秀さん(85)の案内で用水路周辺を巡り、祖先の功績に触れた。
サバンナさんは、盛常の直系10代目にあたる。13歳の時に日本を旅行した際に祖父・貞夫さんの墓参りをし、祖先について興味を持ったという。2024年5月に宣教師として来日し、今回初めて鹿児島を訪問した。
一行は、用水路の完成を記念して建てられた「大隅国(おおすみのくに)桑原郡西国分郷鑿溝崇水神記(くわはらぐん・にしこくぶごう・さっこうすうすいじんき)」や、水が流れるトンネルが2本に分かれた「鼻んす」を見て回った。サバンナさんは、盛常の功績をたたえた「汾陽盛常翁頌徳(しょうとく)碑」と並んで写真を撮り、説明に聞き入った。
案内した有川さんは「アメリカから訪ねてきてくれてうれしい。話ができてよかった」、サバンナさんは「多くの人の愛を感じた。心から感謝している。家族にも伝え、いつか一緒に来たい」と笑顔だった。
サバンナさんは同日鹿児島市も訪れ、明(みん)から薩摩藩に渡り、島津義久に仕えた盛常の曾祖父(そうそふ)にあたる汾陽理心など汾陽家の墓参りもした。